国道256号線

ROUTE256

起点:岐阜県岐阜市→終点:長野県下伊那郡上村(239.6km)

●概況

 R256は岐阜県岐阜市を起点とする、美濃地方〜南信州を横断する3ケタ国道。複雑なルートを辿りながら、途中でいくつかの峠を越えて長野県上村を結んでいる。ルートも複雑だが、経歴もややこしい。

 長野県飯田市と長野県上村の間には小川路峠と言うかつての秋葉街道の難所の峠が在るのだが、バイク・車での通行は不可能。それゆえR256は、飯田市と上村の間が分断されている『分断国道』となっている。この区間は別にR474矢筈TNがあるので将来この区間が繋がる可能性は少ない。当分『分断国道』のままだろう。

●沿革

 R256のルートは少し複雑で、岐阜市から一旦北上して郡上八幡に向かい、その後クネクネした経路をたどりながら東に向かい長野県に入ってR19(中山道)と合流。清内路峠を越えてR153(三州街道)に合流した後、長野県飯田市へ向かい、さらにかつての秋葉街道に沿って長野県下伊那郡上村に至っている。長野県飯田市と上村の間にある小川路峠はバイク・車での通行は不可能となっている『分断国道』である。

 ルートも複雑だが、経歴も複雑な国道である。R256は、元々は長野県飯田市(起点)と岐阜県中津川市(終点)を結ぶ国道として1963年(昭38年)4月に誕生した。その後、1975年(昭50年)4月に起点が長野県茅野市に変更され、長野県茅野市〜岐阜県中津川市間の信州(長野県)縦断国道となった。この時、長野県下伊那郡上村と飯田市の間は秋葉街道に沿って設定されたR152とルートが重複していた。

 R152は、1953年(昭28年)5月に長野県飯田市を起点として静岡県浜松市を結ぶ国道として誕生している。1975年の改訂時は端点区間が重複区間になった以外に変化はなかった。

 ルートはこのままかと思われたが、1993年(平5年)4月にルートの変更が行われた。このときの変更は大がかりで、R152とR256には以下のような変更がなされた。

(1)長野県茅野市〜長野県下伊那郡上村の間をR152に移管し、R256は長野県下伊那郡上村で打ち切り。

(2)R152は起点を長野県上田市に変更し、長野県上田市(起点)〜静岡県浜松市(終点)間の国道とした。これにともない、R

  152・R256重複区間であった長野県飯田市〜長野県下伊那郡上村間をR256に移管。同区間はR256単独国道区間に

  変更。

(3)長野県山口村から岐阜県坂下町〜岐阜県加子母村〜岐阜県金山町〜岐阜県郡上郡八幡町〜岐阜県板取村経由で岐阜

  県岐阜市までR256の区間を延長。岐阜県中津川市を経由しなくなった。

(4)起点を岐阜県岐阜市に、終点を長野県下伊那郡上村に変更。

 (1)〜(4)の大規模なルート変更が行われ、現在の形になったのである。

●DATA/走行日:各項参照/走行方向:各項参照/レポート記述方向:各項参照

Update:2004年2月6日

国道256号線(1)

長野県伊那郡上村/長野県飯田市(飯田市街〜飯田市越久保)

国道256号線長野県伊那郡上村

 R256の終点は長野県下伊那郡上村上町にあるR152との交差点となる。R256は、ここからR152から別れて岐阜県岐阜市を目指すことになる。

 長野県上村内のR152には『→R256』という案内表示があり、R152からR256が分岐していることを証明している。ところが案内表示が示すR256分岐点(終点)は、R152(正確にはR152旧道)とr251(県道上飯田線)との交差点となっている。道にはR256の国道標識はないので、国道なのか県道なのかは分からない状態だ。

 国土地理院の地図によると、長野県上村から長野県喬木村へと向かうr251(上飯田線)の途中までは国道扱いになっている。おそらく途中で分岐する秋葉街道(登山道?)の分岐点までが国道扱いとなっているのだろう。

1.R152を北側(矢筈TN側)から走って来ると、

  上村上町にR256の分岐標識が現れる。こ

  の先にあるのがR256終点。

2.左の案内標識を拡大。確かにR256と示され

  ているが、どこに行くか示されていない。右折

  する道は地図上ではr251である。

3.上村役場付近の旧R152から分岐するr251。

  国土地理院の地図によると、この道がR256ら

  しいが標識はなかった。

<<MEMO>>

■概況・交通量など

 小川峠越えの秋葉街道沿いに進むのがR256となります。現在、峠を越える車道はないため、小川峠を境としてR256は分断状態にあります。その東側の区間が長野県上村内の区間となります。

 案内標識でR256と記されている道は地図上ではr251(県道上飯田線)となっています。現地でもR256の国道標識はありませんでしが、単に標識が設置されていないだけなのかも知れません。おそらく小川峠越えの秋葉街道(登山道?)分岐点までがR256扱いになっているものと思われます。R256終点は謎だらけです。

●走行DATA

長野県伊那郡上村

>>取材日:2000年7月21日

○国道256号線

  長野県飯田市(飯田市街〜飯田市越久保)

【レポートは飯田市街→飯田市越久保方向(起点→終点方向)です。】

長野県飯田市【飯田市市街〜飯田市下平】

 R256はJR飯田駅前近くの中央通2・3丁目交差点でR151と合流すると、飯田市街はR151と2kmほど重複して進み、R153と交差すると進路を南に向ける。飯田市街は市街地を走る2車線道で交通量が多い。

 R256がR151から分岐するのはJR飯田線伊那八幡駅近く。R151から東に向かう2車線道路として分岐する。JR飯田線を越えて少し進むと郊外の水田地帯に出る。長閑な農村地帯を2車線道で東に向かう。

 進行方向(東)には伊那山脈が横たわっている。国道地理院発行の地図では、R256はこの伊那山脈を越えていることになっているのだが、途中にあった警告標識には『国道256号これより11km先通行できません』と記されており、通行可能な道がなく分断されていることが分かる。

 天竜川を渡ると2車線区間は終わり、ここから先は1〜1.5車線幅の狭路が続く区間となりローカル3ケタ国道となって進む。やがて勾配のある狭路の坂道となり徐々に標高を上げて行く。やがて急勾配・急カーブを2箇所ほどクリアすると山中に入って行く。

 飯田市牧野内付近からは山中に切り開かれた小さな水田地帯を進む。思い出したかのように集落を通過して行くことになる。山間の静かな農村地帯を進んで行くと、やがて飯田市下平に到着。ここで長野県喬木村に向かうr83(県道下条米川飯田線)と交差する。R151合流点より約9.3kmである。

1.飯田市市街はR151と重複して進んで行く。

  表示はR151だけだった。

2.この先の十字路でR256は分岐する。

  (R151北側より撮影)

3.飯田市街を抜けると郊外の農村地帯を進んで

  行く。

4.分断国道にお決まりの通行止め警告。ここか

  らまだ11kmも進めるのだ。  

5.天竜川を渡ると坂道が増えて徐々に山中へ

  と入って行く。

6.山間の畑の中を進んで行く。1〜1.5車線幅

  の狭路が続く。

7.飯田市柿野沢付近。山中を進んで行く。

  一部2車線幅の区間もある。

8.集落内では2車線道となっていた。ここにも警

  告標識があった。

9.写真8の拡大。「256」の数字を張り替えた跡

  が見える。下の字は「152」だった。

長野県飯田市【飯田市下平〜飯田市越久保】

 r83との交差点から1kmほど2車線区間が続く。この区間はr83との重複区間となっているが、長野県泰阜(やすおか)村に向かうr83が分岐する付近からは1.5車線幅の狭路国道となる。ローカル国道となったR256は、山間の農村地帯を淡々と東に向かう。やがて上久堅小学校の前を通過すると、山間の素朴な農村集落と水田地帯が広がるローカル国道らしい風景の中を進んで行く。

 飯田市越久保地区に来ると、『この先通行不可能』という内容の標識が目立ち始める。少し進むと『国道256号 此の先行き止まり 大型車回転所』という標識のある待避帯に到着する。ここを過ぎると人家が途切れた。飯田市越久保地区が、飯田市側最後の集落となっている。

 『此の先2km車の通行不能』と書かれた最後の警告標識を過ぎると、道幅は1車線となり山中へ入って行く。川沿いに沿って枯れ枝と落石が転がっている狭路をゆっくりと進む。小さなお堂を過ぎると周囲は山深くなって行く。『ツーリングマップル中部』によると、R256の飯田市側の端点はダートとなって道らしき姿をなくすそうだが、まだダートが現れないので進むことにする。ZRX1100なので無理は出来ないのだが、ブラインドカーブが連続し引き返すことの出来る道幅がないために、進まなければならない状況に陥ったのだ。

 少し勾配のある荒れた路面の完全1車線の狭路酷道を進む。周囲には民家は一軒もない。だんだんと心細くなり始めた頃に、R256国道標識がポツンと立っている所に到着した。山林作業する地元の人以外は通ることのない様な道なのだが、立派な国道であることを証明している。

 やがて路面状態が少しましになった勾配の緩い直線区間に出た。メーターを見ると最初の通行止めを示す標識から約11kmの地点だった。これ以上先はZRX1100で進むのは危険(無謀)と判断し、R256飯田市側の分断区間の走行はここでやめて引き返すことにした。r83交差点から約4kmである。

9.飯田市下平付近では2車線道となる。

  この付近はr83との重複区間。

10.飯田市越久保地区の集落へ入る。狭路の

  緩やかな坂道が続く。

11.集落の外れ付近。車で来て運転する自信が

  なくなった方はここで引き返しましょう。

12.少し進むと再び警告標識が。この先、引き返

  すのが困難となる。この先2kmで通行不能と

  なると書いてある。

13.深い山中に一本だけあったR256国道標

  識。国道の証である。

  (小川峠→飯田市街方向を撮影)

14.写真手前が端点方向となる。比較的緩やか

  な坂道だったので、ここで引き返した。

  (小川峠→飯田市街方向を撮影)  

   

15.写真14の地点から峠方向を見る。急坂のS

  字カーブを描いて山奥へ消えて行く。ここから

  先には進んでいない。

 

 

<<MEMO>>

■概況・交通量など

 この区間はローカル国道なので、交通量は少なくのんびり走ることが出来ます。ただ天竜川を渡ると山間を進む3ケタ国道となるので、勾配のある坂道や急なカーブなどが現れます。

>>飯田市街〜飯田市下平地区(R151分岐〜r83合流交差点)

 この区間は、天竜川を渡ると概ね1.5車線幅の狭路が続くローカル国道区間。1車線幅の狭路区間や急カーブ・急勾配の区間もありますが問題なく走ることが出来ます。

 飯田市内からR474矢筈TNへ向かう車や逆にTNから飯田市内へ向かう車の通行が多いので、見通しの悪い区間では対向車に注意が必要です。この区間のR256は、R474こと三遠南信自動車道(小川路道路・飯喬道路)が延伸して喬木IC(仮称)が完成すれば整備されるものと思われます。

>>飯田市下平地区〜飯田市越久保地区

 飯田市越久保地区(上久堅地区)までは1.5〜2車線道で山間の集落の中を進みます。小学校の前を通る区間があり、児童の飛び出しに注意が必要です。車の通行量は少なく、走っている車のほとんどは地元の方々の軽トラでした。道幅が細い区間もあるので対向車は注意して下さい。

>>飯田市越久保地区以東

 飯田市越久保集落が途切れた地点(写真11)から先は1車線狭路の3ケタ酷道区間となります。行き止まり地点まで走っていませんが、それまでの道路状態から推察すると路面状態は荒れていると思われます。バイクで走る時は要注意です。

 調査時に引き返した地点(写真14)の先には、勾配のある1車線狭路のS字カーブがありました。(写真15) カーブの手前までは歩いて行きましたが、その先は時間の都合で未調査のままです。

 聞くところでは末端は荒れた路面でダートとなって道は消えるそうです。ダートになる前には、国道標識の名残とゲートらしき物があるとか。そこまでは進むことが出来るそうです。

■ガソリンスタンド

 天竜川より東側の区間にはGSはありません。飯田市街で給油しておいて下さい。

■アドバイス

 写真11の付近から先には人家はありません。写真12の地点までなら車であればどうにかUターン出来るスペースがありました。その先はオンロードバイクの走行には向いていない路面だったのでオンロードバイクではあまり無茶して進まない方が良いでしょう。末端区間まで進むのならばオフロードバイクの方が適しています。

 進むのが不安なのだが『どうしても』という場合とか大型バイクや車で来た場合は、標識(写真13)付近は道幅が少し広くなっているのでここで引き返すか、バイク・車を停めて徒歩で進むことをお勧めします。どうするにせよ、末端区間は2人以上で進んだ方が無難です。

 ここまでの道を走って『無理だ』と悟られた方は、写真12の地点までで引き返すことをお勧めします。バイク・車の初心者の方は走られてない方が無難です。もしどうしてもというのであれば、2人以上できれば経験豊富な方と行くことをお勧めします。

 自転車の場合、結構坂道が多い区間なので時間・体力には余裕を持って走って下さい。

■注意点

 晩秋や早春は路面凍結・積雪があるので要注意です。長野県の山中だけに冬期は間違いなく積雪があります。冬期の走行は要注意です。

 冬期や悪天候時は、分断区間末端へは入らないほうが良いです。何かあってもすぐに助けを呼ぶことは出来ません。

●走行DATA

飯田市(飯田市街〜飯田市下平地区)【起点→終点方向を走行】

>>走行日:2000年7月20日

飯田市(飯田市下平地区〜飯田市越久保地区)【往復】

>>走行日:2000年7月20日

>>国道256号線(2)

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