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国道425号線(3)

国道425号線 (4)

 奈良県吉野郡十津川村〜吉野郡下北山間も深い山中を進む秘境3ケタ国道区間 。R168とR169を結ぶ区間ですが、見通しの悪い狭路が延々と続きます。十津川村内は沿道に集落がある生活道路ですが、白谷トンネルを過ぎて下北山村内は無人の深い山中を進む秘境区間。災害多発区間でもあり、大きな災害が起こると数年間は通行止めになることがあります。下北山村内、r229交差点〜R169間は元R169だった区間なのですが、急カーブのある悪路区間となっています。

奈良県吉野郡十津川村〜奈良県吉野郡下北山村

奈良県吉野郡下北山村

●歴史(奈良県吉野郡下北山村〜奈良県吉野郡十津川村 )

 吉野郡下北山村上池原(R169交差点)〜浦向(r229交差点)間はR169旧道なので、ここでは下北山村浦向〜十津川村間について記述する。

1)嫁越越と笠捨越

 吉野郡下北山村と十津川村の間は大峰山脈が南北に 走るため、東西交通の道はごく限られた小山道が地方的に利用される程度のものであった。北山川流域(下北山村)と十津川流域(十津川村)を結ぶ峠道は嫁越越と笠捨越があるだけであった。

 明治時代に入り、南北通行路の西熊野街道(R168)・東熊野街道(R169)の整備が進むが、東西交通路はあまり発達していなかった。南北に走る国道から、十津川・北山川支流に沿って東西に向かって道路が延びていたが、ほとんどは幅2m以下の小道で屈曲起伏にとんだ山道が大部分であった。 支流沿いにある集落への道はあって、それらは車が通れるぐらいに改良はされたのだろうが、本格的な車道建設は戦後までなかったようである。

2)林道開発

 昭和31年(1956年)10月に「吉野熊野特定地域開発計画」が閣議決定され、電源・林業・農業の資源開発が行われることになった。このうち森林資源の開発を目的とした「奥吉野総合開発事業」にもとづき森林開発公団が昭和31年(1956年)に設立され、林道開発が行われることになった。下北山村では浦向からの奥地川林道(L=3203m)が昭和31年12月に、前鬼口からの前鬼林道(L=7988m)が昭和32年2月に着工された。奥地川林道は昭和33年(1958年)、前鬼林道は昭和36年(1961年)に開通している。

 十津川村内でも「奥吉野総合開発事業」の一環として、十津川の主な支流に沿って11路線の林道が、昭和31年(1956年)に森林開発公団の事業として着手された。11路線は順次工事が進み昭和35年(1957年)に 開通した。このうち、十津川村と下北山村の間に建設されたのが、芦廼瀬(あしのせ)川沿いに進む林道芦廼瀬(あしのせ)線で、十津川村小川集落を過ぎて七泰ノ滝付近まで達していたが、急峻な大峰山脈を越えることはできなかった。 この後、林道(国営林道白谷線)が建設された。(*3)

 開発公団とは別に奈良県による林道開発も行われた。昭和41年(1966年)6月に着工された白谷林道(L=8.6km)がその一つで、下北山村浦向から先に開通した奥地川林道を経て十津川村の国営林道白谷線を結ぶ約12kmの林道である。奥地川林道と林道白谷線を結ぶ林道ということになるが、途中で大峰山脈をぬける白谷トンネルを建設せねばならず、総工費約5億円という巨費を投じて建設された。標高845mのところに建設された白谷トンネル(L=943m)は昭和44年(1969年)7月に竣工し、翌年5月に白谷林道が開通。これにより北山川流域(下北山村)と十津川流域(十津川村)を結ぶ車道が開通した。

3)県道時代を経て国道へ

 下北山村と十津川村を結ぶ奈良県道であるが、十津川村の地誌となる『十津川』(p189)によると県道平谷尾鷲線が 、『下北山村史』(p531)には県道河合尾鷲線が設定されたと記載されている。さらに県道河合尾鷲線は県道折立尾鷲線に変更されたとある。県道平谷尾鷲線を吸収するような形で、下北山村河合から十津川村折立に延長されたのだろうか。(*4) 

 『十津川』によると、十津川村平谷〜下北山村浦向間は”(平谷尾鷲線は)笠捨越で下北山と結ぶものであるが未だ改修が行われていない為め、 路線のみある程度である”と記載されている。すなわち笠捨越という山道を県道認定しただけで、車道を通す構想があるだけということだろう。いわゆる予定線だ。

 『下北山村史』では、”もとの河合尾鷲線は折立尾鷲線に改められ、折立から笠捨にいたる林道と、本村浦向からの奥地川林道ができ、それにつづく白谷林道の完成によって、十津川〜下北山〜尾鷲にいたる幹線が通じることになり、紀伊半島の横断道路が実現した。”と記載がある。現在の国土地理院発行の地形図を見ても、十津川村折立から笠捨越に向かう車道(林道)はない。点線の尾根道が記載されているだけだ。”折立から笠捨にいたる”とあるが、折立→滝→林道芦廼瀬線→白谷林道→浦向という意味なのだろう。この経路、前述の昭和45年(1970年)5月に開通した下北山村〜十津川間の道路(林道)を県道折立尾鷲線に指定し、県道平谷尾鷲線は吸収される形で廃止されたのかもしれない。このあたりは資料がないので推察となります・・・。

 昭和47年(1972年)5月に県道尾鷲上池原線(r29)が認定された。この時点で県道折立尾鷲線は下北山村で分割されたことになる。下北山村と十津川村を結ぶ県道名がどうなったか不明なのだが、最終的には昭和52年(1977年)3月に奈良県道吉野熊野公園折立線(r33)となった。そしてそれから5年後の昭和57年(1982年)4月に国道425号線に指定された。

 

*3::記事は@管理人が持つ資料のうち『十津川』(S36.5刊)と『下北山村史』(S48.3刊)によるのですが、両誌の発行年差が約12年あり、S35年頃〜S47年頃の林道建設状況 が分からないので、国営林道白谷線がいつ開通したのか資料がなく推察で書いています。m(_ _)m

*4:県道尾鷲折立線とも言われていますが、ここでは『下北山村史』原文のまま、県道折立尾鷲線で記載しています。

【参考・引用文献】 下北山村史  (昭和48年3月刊)/十津川 (昭和36年5月刊)/奈良県史@地理 (昭和60年3月刊)

国道425号線 奈良県吉野郡十津川村〜奈良県吉野郡下北山村

【レポートは吉野郡十津川村→吉野郡下北山村方向(終点→起点方向)です。】

■吉野郡十津川村 【十津川村蕨尾〜十津川村滝】

 吉野郡十津川村蕨尾のR168柳本橋北詰からはR168と重複して北に向かう。R168は紀伊半島を南北に縦断する幹線国道だが、十津川村蕨尾地区は狭い2車線道となっており道路ギリギリにまで家屋が建ち並んでいる。庵之前橋を渡ると十津川村平谷地区の町中に入る。十津川温泉の中心地となる温泉街だ。

 平谷の町を抜けるとやや狭い2車線道で二津野ダムによって出来たダム湖沿いを進んで行く。この付近は現在『R168十津川道路』の残る1.7kmほどの区間が事業中だ。十津川村込之上地区を過ぎてしばらく進むと折立橋で十津川を渡る。折立橋は平成23年(2011年)9月の台風12号の豪雨による十津川の氾濫などにより、9月4日午前1:40頃に落橋。一時寸断されてしまったが、10月30日には仮橋にて復旧している。

 十津川村折立地区の町中を過ぎると、R168十津川道路区間に入る。R168十津川道路(十津川村平谷〜十津川村小原:L=6.0km)は、地域高規格道路の『五條新宮道路』の一部として建設さている高規格道路。全区間のうち、十津川村折立〜十津川村小原間の約4.3kmが台風12号豪雨による被災直後の平成23年9月5日に供用開始となった。(*1) R168と重複するR425も十津川道路経由になったが途中までで、R168十津川道路今戸トンネルを出た所にある滝ランプでR425は単独分岐する。

1.柳本橋北詰のR425分岐点をR168五條側から見る。

  案内標識のR425の表示が小さい。(1004)

2.平成23年台風12号で流された折立橋。仮橋で復旧し

  ている。R168五條側から撮影。(C)

3.R425は、R168今戸トンネル〜大津呂トンネル間の

  滝ランプで分岐する。R168五條側から撮影。(C)

<<撮影年月の記載が無い写真はすべて平成25年(2013年)9月撮影>>

(C):動画からのキャプチャ画像

*1:平成23年(2011年)9月の台風12号豪雨で、現在通行止めになっている区間で斜面崩壊が発生して道路が崩壊。十津川村役場のある小原地区(五條方面)から南への道路が寸

   断されてしまった。小原地区の小原中学校(現:十津川中学校)グランドに設置された臨時ヘリポートからの救援物資などの輸送や緊急車両などの通行が出来ない状況になったた

   め、平成23年9月19日(月)15時に供用開始予定の十津川道路の供用開始を2週間繰り上げて9月5日に供用開始となった。

   その前日の4日に折立橋が落橋していたため、仮橋で復旧する10月末まではその効果は発揮できなかったが、復旧後は救援物資や復旧資材の搬送などに大きく貢献したのはご

   存じの通り。十津川道路がなければ折立地区は2ヶ月弱は完全に孤立していたことになる。十津川道路の建設と9月一部供用開始は、予めこの災害が起こることを想定していたの

   ではないかと思ってしまうほど、絶妙な時期の供用開始であった。

■吉野郡十津川村 【十津川村滝】

 十津川道路が部分開通するまでは、R168(R425)は十津川沿いの断崖下を1.5車線道を含む狭路で進んでいた。この断崖下を進む狭路区間を通り抜けると、R425は滝隧道西口前の交差点でR168から分岐。すぐに滝隧道に入って東(下北山村方面)に向かっていた。

 滝隧道(L=224m)は逆U字形した天井の高いトンネル。R425吉野郡十津川村〜下北山村間のうち、十津川村内の区間は吉野熊野総合開発事業の一環として森林開発公団が昭和30年代前半に建設した林道芦廼瀬(あしのせ)線が前身となる。滝隧道もその時に建設されたトンネルで、木材を運搬する大型トラックの通行を考慮して天井が高くなったと思われる。

 滝隧道を出るとR168十津川道路の高架橋が見えてくる。R425からは接続道路となる芦廼瀬ループ橋がR168滝高架橋に延びて連絡しており、立体交差となっている。十津川道路が全通すれば、R168と接続するループ橋がR425となり、滝隧道を含む区間は国道指定を解除されるのだろう。

 なお、十津川村折立〜十津川村滝地区の滝隧道前間のR168・R425重複区間では、平成23年台風12号の豪雨による斜面崩壊により道路が崩壊。以来、同区間は全面通行止めになっている。平成25年(2013年)秋の時点においても全面通行止めが続いており、復旧させずに廃道となるのかも知れない。

1.R168・R425交差点。滝隧道西口前が交差点。

  R168五條側から撮影。右奥の狭路に進むと折立に

  向かう。

2.ご覧の通り『通行止』となっているが、狭路入口に

  ゲートなどは設置されていない。

 

3.滝隧道西口。左端にR425国道標識が設置されてい

  る。十津川道路が全通すれば国道指定は解除される

  かもしれない。

4.滝隧道東側抗口。逆U字形で背の高いトンネル。

  直線なので向こう側が見える。

5.滝隧道を出るとR168十津川道路をアンダーパス

  する。左上はR168の大津呂トンネル南口。

6.十津川支流の芦廼瀬川を跨ぐようにしてR168と

  ループ橋の高架道路が交差する。

7.芦廼瀬川ループ橋でR168に向かう。アンダーパスす

  るR168は滝高架橋という橋名。(C)

8.ループ橋を走ってR168十津川道路に接続する。

  信号はないので、必ず一旦停止して左右確認を。

9.H23年以前の滝隧道前。青看板が変わっただけで、ほ

  とんど変わっていない。(10009)

<<撮影年月の記載が無い写真はすべて平成25年(2013年)9月撮影>>

(C):動画からのキャプチャ画像

■吉野郡十津川村 【十津川村滝〜十津川村高滝】

 R425と芦廼瀬ループ橋との交差点を過ぎると十津川第一発電所が見えてくるが、R425は発電所を避けるように芦廼瀬隧道(L=258.9m)に入る。トンネル内部にカーブがある芦廼瀬隧道を過ぎると、十津川支流の芦廼瀬(あしのせ)川に沿って深い谷間を進んで行く。道幅は1.5車線道で平坦な狭路が続く。見通しの悪い区間が続くのは山中の狭路では当たり前だが、この付近のR425は路面も整備されており走りやすく速度が出やすいので注意が必要だろう。

 ガードレールが設置されている谷間の狭路をしばらく進むと交差点に至る。R168交差点から約3kmである。大野出合と呼ばれる、芦廼瀬川と大野川の合流点付近にある交差点でR425は右に向かう。

10.芦廼瀬ループ橋との交差点。滝隧道側から撮影。

  R168十津川道路へは右に向かう。(1309)(C)

11.しばらく進むと芦廼瀬隧道に至る。西口を撮影。

  十津川第一発電所を迂回するように進む。

12.芦廼瀬隧道を出るとセンターラインのある2車線道とな

  る。(R169→R168方向を撮影)

13.2車線道はすぐに終わり狭路になる。下北山まで

  35kmほどあるそうだ。

14.ほどなくして谷間を行く1.5車線路となる。谷側には

  ガードレールが設置されている。

15.断崖下を淡々と進んで来る。

  (R169→R168方向を撮影)

 

16.大野出合と呼ばれる交差点。表示が無ければ左に

  進みそうになる。正解は右に向かう。

17.大野出合を右に進むと坂道を下る。坂の途中にR425

  国道標識が設置されている。

 

<<撮影年月の記載が無い写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

(C):動画からのキャプチャ画像

■吉野郡十津川村 【十津川村滝〜十津川村小川】

 十津川村高滝で大野地区に向かう村道(林道?)が分岐すると、R425は狭路坂道を下って大野川を渡り、引き続き芦廼瀬川に沿って谷間を進んで行く。蛇行する川に沿って進むため、R425も必然的にウネウネと曲がりながら進んで行く。1.5車線道をしばらく進むと、落石防護のための覆洞が現れる。この区間だけはセンターラインのある2車線道となっていた。山の斜面は頑丈なコンクリートで覆われているところを見ると、かつて大規模な土砂崩れが起こった現場なのかもしれない。

 覆洞区間からは再び1.5車線狭路道となり平坦な谷間の狭路をひた走る。大野出合から3.5kmほど進むと十津川村小川の集落に至り、七泰の取水堰提に向かう林道(?)分岐点に到着する。この小川地区が十津川村側最後の集落となり、この先は白谷トンネルを抜けて吉野郡下北山村浦向までの約27kmの間に民家や集落はない。

 分岐点を路面表示通り右に向かう。緩やかな坂道を下ると白谷橋で芦廼瀬川を渡る。400mほど進むと道は急勾配の狭路坂道となり、急カーブをいくつも曲がりながら標高を上げて行く。ウネウネと曲がる1〜1.5車線幅の狭路坂道を2kmほど進んで行くと、やがて葛川隧道を経て瀞峡へと向かう村道(?)との交差点に到着する。R168交差点から約9kmである。

18.途中にあった覆洞区間。この区間だけセンターライン

  のある2車線道。

19.淡々と谷間の狭路を進んで行く。

  (R169→R168方向を撮影)

20.十津川村小川の林道(?)分岐点。R425は表示通り右に

  向かう。直進はやがて行き止まり。

21.写真20の分岐点を右に向かうと緩やかな坂道を下っ

  て行く。R425国道標識がある。

22.狭い幅の白谷橋を渡る。ここで芦廼瀬川から離れて

  山越えに入る。

23.1〜1.5車線坂道が続く。急坂・急カーブの山道だ。

  3ケタ国道らしくなってくる。

24.やがて瀞峡の地名が見えてくる。先のカーブを

  曲がると分岐点に至る。

25.瀞峡に抜ける村道(?)分岐点付近は幅広となってい

  る。(R169→R168方向を撮影)

26.R425は左、瀞峡へは右に向かう。右の道はR169全通

  まで瀞峡への近道だった。

<<写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

■吉野郡十津川村 【十津川村小川〜十津川村上葛川】

 村道(?)分岐点を過ぎてからも1.5車線狭路坂道が続く。しばらく進むとアップダウンを繰り返すようになり、紀伊半島の深い山中を進んで行く。見通しの悪いカーブが連続するが、道幅は広がり1.5〜センターラインのない2車線道が断続するようになり、多少は走りやすくなる。

 しかしそれも『21世紀の森』(紀伊半島森林植物公園)の辺りまでで、植物公園を過ぎると断崖下を進むアップダウンのある1.5狭路となる。見通しの悪いカーブが連続をいくつもクリアしながら進むと狭い2車線道となり、ほどなくして白谷池郷林道分岐点に到着する。村道(?)分岐点から約13kmである。

27.村道(?)分岐点から1.5車線狭路坂道を進んで行く。

  3ケタ国道らしい道が続く。

28.紀伊半島森林植物公園『21世紀の森』周辺は道幅

  が広がる。

29.山中のローカル国道をのんびりと走る。下北山まで約

  24km。

30.急斜面の下を進んで行く。路面状態は良好で走りや

  すいが見通しが悪い。

31.落石防護ネットの下部には多くの落石が見られる。

  路肩に注意。

32.切り通しを通る場所もある。

  (R169→R168方向を撮影)

33.十津川村側は路面の整備がされている。路肩に大き

  な石が転がっていた。

34.ガードレールのない箇所もある。防護ネット下には

  たくさんの落石が・・・。

35.アップダウンとカーブを繰り返しながら進んで行く。この

  区間も元林道。

<<写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

■吉野郡十津川村 【十津川村大野】

 白谷池郷林道分岐点をR168側から見ると、左側のダート広場となっているのが下北山村上池原に抜ける白谷池郷林道(ゲート閉鎖で通行止め。通り抜け不可能)で、右側の狭路坂道の舗装路がR425となる。この付近までのR425は元々は国営林道白谷線だった区間。分岐点から白谷トンネルを抜けて浦向までは県営白谷林道と奥地川林道だった区間となる。

 白谷池郷林道分岐点からは1〜1.5車線幅の狭路急坂を一気に上って標高を稼いで行く。急カーブが続く狭路坂道を3kmほど上って行くと白谷トンネルに到着する。白谷トンネル(L=943m)は大峰山脈を貫く県営白谷林道のトンネルとして建設されたもので、昭和44年(1969年)7月に開通している。(県営白谷林道は昭和45年5月に開通) 山奥の標高845mの高所にあることから冬期は閉鎖される。

 白谷トンネルは狭い2車線幅の直線トンネルだが、内部には照明はないので意外と暗い。1km近い照明のないトンネルを抜けると吉野郡下北山村に入り、牛廻越付近から始まった長い十津川村横断が終わる。R168交差点から白谷トンネル東口まで約26kmである。

36.白谷池郷林道分岐点。右の狭路坂道が国道。

  左のダート広場が林道入口。

37.分岐点にはR425国道標識が立っている。

  ここからR169まで約20kmとのこと。

38.分岐点からのR425も元林道区間。道幅1車線の

  急勾配をともなう狭路坂道。見通しは悪い。

39.急坂が続くが、途中には狭い2車線道ぐらいの

  道幅がある。

40.3kmほど急坂を上ると白谷トンネルが見えてくる。

  十津川村側抗口。

41.約1kmの直線トンネルを抜けると吉野郡下北山村に

  入る。下北山村側抗口を撮影。

<<写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

■吉野郡下北山村 【下北山村浦向】

 白谷トンネル東側抗口付近には広い空き地が広がっている。白谷トンネル建設時には事務所などがあった場所なのだろう。トンネルを出た場所からは山しか見えず、紀伊半島の深い山中を走っていることを実感出来る。足下にはこれから走るR425の狭路が見え、ウネウネと曲がりくねり進んでいるのがよく分かる。

 トンネルを出ると1.5車線狭路坂道を下って行く。ほどなくして急カーブを曲がると、あとは急勾配の狭路坂道を下って行く。見通しの悪いカーブをいくつもクリアしながら断崖下を進んで行く。この付近は災害多発地帯で、平成7年(1995年)秋頃には大雨で大規模な斜面崩落が発生。道路が流出して長期通行止めになったこともある。その後も幾度となく土砂崩れなど災害が発生しており、その度に通行止めになっている。山側の斜面のコンクリート護壁や丈夫そうな防護ネット 、継ぎ接ぎの真新しい路面がそれらを物語っている。

 やがて奥地川で出来た深いV字の谷を渡ると、谷を右側に見て進んで行く。さすがにこの付近にはガードレールが設置されている。白谷トンネルから3kmほど進むと、1車線幅の狭いカナウナギトンネルを通り抜ける。今はコンクリートで補修されているが、以前は素堀トンネルで通り抜けるのにヒヤリとしたものだ。

 カナウナギトンネルを出ると、引き続き断崖下を進む1.5車線狭路坂道を下って行く。カナウナギトンネルから2kmほど進むと急勾配・急カーブを曲がり奥地川沿いの谷間に下ってきた。ここからは奥地川沿いに谷間を進むことになる。

 元林道となる区間は、一部に狭い2車線幅もあるが概ね1.5車線狭路道となる。奥地川に沿う平坦な狭路を淡々と2.5kmほど進むと倉庫が現れる。十津川村小川地区の集落以来の建物だ。そこから600mほど進むと下北山村浦向の集落に出る。道幅もいきなりセンターラインのある2車線道となり、突然に狭路区間が終わる。

 2車線道になってから700mほど浦向の集落内を進むと新楓橋で西川を渡り、r229(県道上池原下桑原線)との交差点に到着する。白谷トンネルから約9km、十津川村滝のR168交差点から約35kmである。

42.白谷トンネルを出てからも1.5車線狭路坂道を

  下って行く。

43.下北山村に入って、やっと『尾鷲』の地名が現れる。

  尾鷲まで57km・・・。

44.断崖下の狭路を進む。この付近は災害復旧現場らしく

  コンクリ防壁が目立つ。

45.カナウナギトンネル西側抗口。なんとも珍しいトン

  ネル名だ。見通しが悪いので注意。

46.急勾配の狭路坂道を下り続ける。十津川村側と比べ

  ると急勾配の坂道が続く。

47.急カーブを曲がって奥地川沿いの谷間に至る。逆光状

  態・・・。(R169→R168方向を撮影)

48.奥地川沿いの谷間に進む。元々は奥地川林道だっ

  た区間。1.5車線道が続く。

49.谷間の断崖下を進む。防護ネットの下には落石が

  積もっており、草木が生えていた。

50.2車線道となり700mほど進むとr229交差点に至る。

  大峰山脈越えの悪路区間が終わる。

<<写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

<<MEMO>>

■概況・交通量など

 吉野郡十津川村〜吉野郡下北山村間は大峰山脈を越える悪路区間で、芦廼瀬川や奥地川の谷間から一気に標高を上げて白谷トンネルで山脈を越えています。地質的に脆い場所なのか、大雨の後は非常に危険な区間で1年を通してどこかで防災工事や災害復旧工事などが行われており、平日は時間通行規制が行われることも多い区間ともなっています。

 龍神・十津川間の奈良県十津川村内のように集落を繋ぎながら進むのであればまだ安心出来るのですが、前身が林道なので十津川村小川〜下北山村浦向間には集落(民家)はありません。公衆電話はないために何かあれば連絡することは難しい場所を走ります。

 交通量は非常に少ない国道です。十津川村内であれば瀞峡へ向かう観光客の車や地元車と出会いますが、白谷 トンネルを挟んだ区間はほとんどお目にかかりません。特に平日は通行量は皆無に近い状態です。だからと言ってカーブでは油断大敵です。小刻みなブラインドカーブが連続するので、カーブを曲がるときは絶えず対向車が来るものと思って走って下さい。平成22年(2010年)4月に走った時は、何故か大型ダンプが走っており、2〜3台の集団と数 回すれ違いました。どこかで大規模な工事でも行われていたのでしょうか?狭路で出会うと離合困難となるので、出来る限り出会いたくない相手です。

■ガソリンスタンド

 下北山村浦向にあったGSは廃業していました。この区間のR425にはGSはありません。最寄りは十津川村内のR168沿いか、下北山村上池原のR169沿いにあるGSとなります。

■アドバイス

 龍神・十津川間と比べると走りやすい区間ですが、そこはやはり3ケタ国道。急勾配の狭路が続き、対向車とのすれ違いが困難な箇所が多いので、バイク・車の運転初心者の方は1人では走らない方が良いです。 複数人か複数台で行かれることをお勧めします。

 自転車の場合、かなりの時間・体力・気力が必要です。区間中には自販機や商店などはないので、十津川村 折立地区や下北山村浦向地区の商店などで飲み物などを購入しておくことをお勧めします。

■注意点

 この区間 は非常に深い山中を走ります。標高の高い場所や深い谷底を進むので、晩秋〜早春にかけては路面凍結・積雪があります。12月中旬頃〜翌年3月にかけては白谷トンネルが冬期通行止めとなるため、吉野郡十津川村〜吉野郡下北山村間は通り抜けできません。

 悪天候時は土砂崩れなどの災害が起こる可能性があるので、雨天時はもちろんのこと雨が上がってからもしばらくは走らない方が無難です。晴れた日に走る場合も、工事で時間通行止め規制が行われていることがあ るので、道路規制状況を確認してから走るようにして下さい。

●走行DATA

奈良県吉野郡十津川村〜奈良県吉野郡下北山村

【終点→起点方向を走行】

>>走行日:平成22年(2010年)4月8日/平成25年(2013年)9月26日/他

注意>>この区間は、走行方向問わず何度か走行しています。走行日は使用写真の撮影日のみを記載しています。

【参考資料】十津川(昭和36年刊)/下北山村史(昭和48年刊)

■この項終わり

国道425号線 【奈良県吉野郡下北山村】

【レポートは吉野郡十津川村→吉野郡下北山村方向(終点→起点方向)です。】

■吉野郡下北山村 【下北山村浦向〜下北山村池峰】

 R425は新楓橋東詰のr229(県道上池原下桑原線)交差点を左折する。ここからはr229と重複して進むのだが、元々はR169だった区間である。そのR169には新楓橋東詰を右折してr229を経由する方が早く出ることが出来る。

 新楓橋東詰を左折すると、吉野郡下北山村浦向の町中を進んで行く。下北山村役場のある村の中心地を2車線道で通り過ぎて1.5kmほど進むと西川を渡ってバイパス道路区間に入り、寺垣内トンネル(L=80m)を通り過ぎる。西川沿いに進み寺垣内地区の集落を経由してくる旧道が合流すると、整備された2車線道となり西川左岸を進んで行く。やがてカーブの多い緩やかな勾配のある坂道となり、浦向地区から4kmほどで下北山村池峰地区の集落に至り、さらに800mほど進むと池の平公園に入り峠(?)に到着する。

1.新楓橋東詰のr229交差点。R169側から撮影。

  ここからは2車線道となる。

2.下北山村浦向の町中を進んで行く。浦向からは

  元R169だった区間となる。

3.バイパス道路内にある寺垣内トンネル。

  整備された快走路を走る。

4.西川右岸を整備された2車線道で進んで行く。

  ただし走りやすいのは池峰地区まで。

5.やがて2車線坂道となって池峰地区へ向かう。急カー

  ブが増えてくる。(0904)

6.池の平公園内を狭い2車線道で進み、やがて峠(?)に

  至る。

<<撮影年月の記載が無い写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

■吉野郡下北山村 【下北山村池峰〜下北山村上池原】

 公園内にある峠を過ぎると杉林の中を行くセンターラインのない2車線坂道となる。坂を下ると明神池の畔を通り抜ける。R425は池神社拝殿と明神池の間を通り抜けるのだが、明神池周辺は聖域となっているので、くれぐれも静かにそして不敬のないように通り過ぎてもらいたい。

 明神池の畔を通り過ぎると狭い2車線坂道となり山中を下って行くようになる。見通しの悪い小刻みなカーブが続く坂道を1kmほど進むとヘアピンカーブが現れ 、このカーブ付近からは急勾配の1.5車線〜狭い2車線坂道と急カーブが断続するようになる。この付近は断崖上を進むため、下北山村上池原の町を見下ろすことが出来る。

 急勾配の坂道を下って行き、池原橋西詰を過ぎると下北山村上池原の町中に入る。町中を平坦な2車線道で進んで行くが、池郷川を渡ると1.5車線狭路となり、ほどなくしてR169との上池原交差点に到着する。下北山村浦向の新楓橋東詰(r229交差点)から約8kmである。

7.公園を過ぎると杉林の中を進む。木の前に国道標識

  が立っている。正面は明神池。

8.明神池を過ぎると山中を進む。狭い2車線幅のカーブ

  が続く狭路坂道となる。(0904)

9.やがてヘアピンカーブが現れる。ここの前後は1.5車

  線幅になる。冬期は要注意。(0904)

10.ヘアピンカーブにはR425国道標識が設置されてい

  る。(0904)

11.急な坂道を下り、2箇所目のヘアピンカーブを曲が

  る。かなり急だ。

12.やがてセンターラインのある2車線坂道を下って行く。

  (R169→R168方向を撮影)(0904)

13.池原橋西詰を過ぎると上池原の町中に入る。平坦な

  2車線道で進んで行く。

14.池郷川を渡ると狭路となる。

  (R169→R168方向を撮影)(0904)

15.R169との交差点に到着。R425は左に向かう。

  交差点の信号は感応式信号となっている。

<<撮影年月の記載が無い写真はすべて平成22年(2010年)4月撮影>>

<<MEMO>>

■概況・交通量など

 吉野郡下北山村内のr229との重複区間は、元々はR169だった区間です。道的には早くから道路整備が行われていたようです。ただ線形だけは改良できなかったようで、上池原〜池峰間では急カーブ・急坂が続きます。そのため、下北山村浦向からだとr229を経由する方がR169に出ることができます。

■ガソリンスタンド

 R425沿いにはありません。最寄りは下北山村上池原のR169沿いにあるGSとなります。

■アドバイス

 急坂・急カーブ区間があります。運転初心者の片は注意して走ってください。運転が難しいと思ったらr229経由の方が安全です。

 自転車でR169から浦向に向かうと、かなりきつい上り坂となります。逆方向だと速度が出やすくなるので注意が必要です。時間・体力に余裕を持って走ってください。

■注意点

 晩秋〜早春は路面凍結・積雪のある区間です。冬期は急坂・急カーブ区間での走行には要注意です。また悪天候時や大雨時も走行に注意してください。

●走行DATA

奈良県吉野郡下北山村

【終点→起点方向を走行】

>>走行日:平成21年(2009年)4月30日/平成22年(2010年)4月8日/他多数

注意>>この区間は、走行方向問わず頻繁に走行しています。走行日は使用写真の撮影日を記載しています。

■この項終わり

国道425号線(5)

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